メンブレンスイッチとは、スクリーン印刷したPETフィルムを何層にも重ねた薄型スイッチのことで、シートスイッチとも呼ばれます。
メンブレンスイッチのOEM製造は長野テクトロンの主力製品の一つで、他社様では実現できなかったメンブレンスイッチを数多く開発、製造させていただいております。
長野テクトロンのメンブレンスイッチの使用用途は多岐に渡り、業務用小荷物リフトの操作パネル、映画館で使用する映像機器の操作パネル、医療用洗浄機、コインパーキングの精算機、デジタル圧力計、光測定器、NC切削機など、主に産業・医療・工作機器の分野におきまして、様々な環境に耐えうるメンブレンスイッチをご提供しております。
【基本メンブレンスイッチタイプ】
■フラットタイプ
メンブレンスイッチで最も安価なタイプが、このタイプです。
表面シートにエンボス加工がされておらず、クリック感もありませんので、
カード型電卓やタッチパネルの操作感になります。構造が簡単なので、納期も比較的短い傾向にあります。
用途や環境にかかわらず、様々な機器に使われており、エンボス加工がされていないため打鍵耐久性も高く、
耐熱温度も比較的高くなります。クリック感を出すためには、クリック感のあるエンボス加工を施すか、
内部にポリドームや金属ドームを入れます。
■クリックエンボスタイプ
クリックエンボスタイプは、エンボス型によって表面シートのスイッチ部分をドーム型に盛り上げ、
キーを押したときにクリック感が出るように加工したメンブレンスイッチのことです。
表面にエンボスが施されることにより、意匠性・操作感・タッチ感が向上します。
クリックエンボスタイプは、産業用機械のような確実な操作感が好まれる場面で主に使われております。
ちなみに、クリック感はありませんが、大きさ、形を自由に加工できる「デザインエンボスタイプ」もございます。
■ポリドームタイプ
PETフィルムを加工した当社オリジナルのドームスイッチを使ったメンブレンスイッチです。クリックスイッチとも呼称します。
一番の特徴は、金属ドームに比べ、ストロークが大きく、確実なクリック感を得ることができることです。
汎用性が非常に高いことから、近年、当社で新規に開発したメンブレンスイッチはこのタイプが非常に多いです。
エンボス加工の有無にかかわらずクリック感は得られますが、クリックエンボスでは実現できない形状のデザインエンボス加工を施すことで、
デザイン性とクリック時の軽快さをさらに高めることができます。
ポリドーム自体に高さがありますので、同じく高さあるチップLEDを実装する「LED実装タイプ」「キー照光タイプ」「7セグメントタイプ」との相性は抜群です。
■金属ドームタイプ
表面シートの下の接点部に金属性のドームを組み込み、その金属ドームの跳ね返りを利用してクリック感を出すタイプのメンブレンスイッチです。
クリックエンボスタイプとは一味違った軽快でメカニカルな操作感があり、耐久性にも優れているため、
世界的には最もポピュラーなメンブレンスイッチといっても過言ではありません。
押下力や形状の違う各種金属ドームを用意しておりますので、お好みの物をお選びいただけます
■ラバーキータイプ
表面シートの代わりに、金型などで成形したシリコンラバーを使ったメンブレンスイッチです。
光測定器などの産業用機器では昔からよく使われており、ラバーならではの心地よいクリック感とフィルムでは出せない立体感が一番の特徴です。
キーの形状、ラバーの色の変更、印刷の追加、キー照光なども可能で、もっともデザインの自由度が高いタイプです。
ラバーキー自体でクリック感を出すこともできますが、ラバーキーの下にポリドームや金属ドームを置くことで、様々な構造に対応することができます。
【応用スイッチタイプ】
■LED実装タイプ
メンブレンスイッチの内部にチップLEDを実装し、キー入力の他に、電源のON/OFFなどをLEDの発光色で表示できます。
当社が一般的に使用するチップLEDは1.6×0.8×t0.36のサイズで、様々な色のバリエーションからお選びいただけますが、
ご希望のLEDがあればそれらを使用することも可能です。
厚みは1.5mm程度と、通常のメンブレンスイッチより少し厚くなりますので、ポリドームタイプと組み合わせるのがお薦めです。
ただし、表面シートのLED部分にエンボス加工を施すことにより、クリックエンボスタイプと組み合わせる(厚さ1mm以下も可能)こともできます。
チップLEDの他に、チップ抵抗・チップダイオードも実装可能です。
■防水タイプ
外部からの水の浸入を防ぐため、接点部の外周を粘着力の強い防水用テープで囲います。
こうすることにより、防水性の高いメンブレンスイッチになります。IP規格等にも対応可能です。
基本的に、フラット・クリックエンボス・ポリドームなど、どのタイプのメンブレンスイッチでも対応できます。
主に屋外で使用する無線機の操作部やコインパーキングの精算機などの高い防水性が求められる場所に使われておりますが、
高い信頼性で好評いただいております。
※外周を防水用両面テープで囲うため、デザインや大きさに制限が出る場合があります。
※この製品は、表面シート側からの水の浸入を防ぐための構造となっており、筐体側からの水の浸入には対応しておりませんのでご了承ください
■文字照光タイプ
LED実装タイプの発展形で、メンブレンスイッチにあるキーの文字やロゴなどを全体的に光らせる面発光をご希望の場合に採用されるタイプです。
チップLEDを下あるいは横に実装し、照光させます。
照光させる部分の広さやピッチに制限がありますが、意匠性や視認性が高まるため、近年、希望されるお客様が多いタイプです。
このタイプのメンブレンスイッチは、映画館などの暗所で操作する機器に使用されています。
広い範囲で光らせるために特殊な構造になりますので、メンブレンスイッチの厚みは最低でも3mm以上となります。
また、LED実装タイプと同様、ポリドームタイプとの組み合わせがお薦めです。
■7セグメントタイプ
LED実装タイプの発展形で、メンブレンスイッチ内に7セグメントLEDを実装するタイプです。
通常、7セグメントLED部品の高さは4~5mm程度ですが、当社のオリジナル7セグメントLEDは2mm程度となり、
メンブレンスイッチ全体でも4~5mm程度です。
単純なLED表示だけでは機能的に満足できない場合に、メンブレンスイッチの特徴である“薄さ”を残しつつ、7セグメントLEDを実装できます。
また、LED実装タイプと同様、ポリドームタイプとの組み合わせがお薦めです。
■耐油メンブレン
一般的な両面テープを使わず、外周を封止することにより、一切の水や油を遮るメンブレンスイッチです。
筺体の隙間や貼り合わせ部から内部に水や油が侵入しても、スイッチが誤動作することがなく、
信頼性の高いメンブレンスイッチとして動作します。
工作機械や屋外機器などの入力部に最適です
【表面シートタイプ】
■表面シートのエンボス加工
表面シートに、エンボス加工を施すことができます。
エンボス加工には、クリックエンボス・デザインエンボスの2種類があり、大きさ・形・荷重は自由に選ぶことができます。
「クリックエンボス」
・軽快なクリック感を出す加工です。
・形状は円または楕円となります。
・5φ~13φの大きさまで可能です。
・エンボスの高さは0.4mm~0.5mm程度です。
「デザインエンボス」
・四角、円、矢印、スイッチ部分の縁取りなど、様々な形状の加工が可能です。
・幅は1mm以上から可能です。
・高さは0.8mmまで可能です。(表面シートの材料にウレタンを使えば、高さ1mmまで可能になります。)
※なお、デザインエンボス自体にクリック感はありませんので、クリック感を出すためにドームの組込みが必要となります。
■表面シート材
表面シート用のシート材は、様々なものがあります。
表面光沢のあるツヤツヤした表面シートや、シボ目のかかったザラつき感のある表面シートなど、ご自由に選択していただけます。
また、表面シートのみ(銘板)の製作も行っております。
材料:ポリエチレンテフタレート(PET)
ポリカーボネイド(PC)
厚さ:100μm~250μm
■表面シートのUV加工
UV加工を表面に施すと、耐薬品性が高まり、キズがつきにくくなります。
また、つやつやした材質のものにシボ目を出すこともできます。
■インクジェット印刷
メンブレンスイッチを製作する際、こういったことでお困りではございませんか?
「写真撮り用のモック品を早急に製作したい」
「試作時と量産時でデザインが変更になる可能性がある」
「量産数量が多くないので、極力イニシャル費を下げたい」
そういった場合におすすめなのが、表面シートをシルクスクリーン版ではなくUV硬化型インクジェットプリンターで印刷する、
「インクジェット印刷」です。
版下データから製版用フィルムとシルクスクリーン版を作製し印刷するスクリーン印刷と違い、版下データから直接印刷できるのが一番の特徴で、
「短納期」かつ「低イニシャルコスト」を実現可能です。
再現できる色合いに限界があるので、細かい色指定にお応えできない場合があるのが唯一のデメリットですが、
その高い印刷品質は、プロでもぱっと見ではスクリーン印刷との違いを見分けるのが難しいほどです。
※こちらの商品につきましては都度お見積もりとなりますので、右上「お問合せ」ボタンよりお問い合わせをお願い致します。
※写真はイメージです。